《MUMEI》
花のカオリ。
と、またドアが開いた。

ガチャ。


かすかに、梔子の香りがする。








ただ、そこにいたのは花ではなかった。
背の高い女が、そこには立っていた。



ハチミツ色をした髪を、ただ重量に任せ、まっすぐに伸ばしている。




そして、
随分、冷ややかな目を俺達に向けた。

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