《MUMEI》

「ダメだよー、俺は…秀幸が思ってる様な奴じゃない…、本当に違うんだよ、ずるいんだよ?
言わなきゃわかんないとか当たり前に考えてるし、頭撫でてくれる奴には誰にでもついて行く様なバカなんだよ?」





お願い…俺の事嫌いになって…






−−−嘘…




本当は…許されたい…





『…分かってるよ、んな事始めっから。
でもな、俺は…
そんなとこも…
愛しいんだ。
な?もう良いから…』





「うん…、でも…」






『な、会ってから話そう?もう実は来てんだよ…、外出てくれっか?』



「え?」

俺は慌てて窓際に向かう。



カーテンをがっと開けると…真下に見たことのある車……。




「ひで…」

―――携帯の通話を切られている。




俺は咄嗟にバッグを掴みマンションを飛び出した。






エレベーターがもどかしくて階段を駆け降りる。




エントランスを抜け外に出ると、秀幸が俺に背を向けマンションの外壁と揃いの柄の花壇の縁に座っていてた。






秀幸は俺の気配に気付き、立ち上がると、
ゆっくりと振り返った。








「ほら、帰るぞ」






何時もの軽い調子でそう言われ…






「ごめんなさい…
ごめんなさい…、
秀幸…、俺…」





「バカ…、一人で外出するのはもう禁止だ…、ほら車乗れ?」




「でも…」






そんな資格俺にはない




「じゃーここでチューされんのと無理矢理担いで乗せられんのどっちが良い?」

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