《MUMEI》
食堂で一服
俺と有河原樹は食堂へ来ていた。
中には数人の人がいて、それぞれのテーブルの上にはトレイに乗った器類が置いてあった。

俺と有河原樹は一直線にカウンターへ向かい、中にいる40歳前半の白髪混じりの女性に声をかけた。
「こんにちは南さん。豚のお任せ定食ちょうだい。沢村は?」
「…ん…Bランチ」
有河原樹はひらひらとタダ券を振り回している。
窓口から南さんが顔をだした。
「あら、たっちゃん。聞いたよー優勝おめでと☆」
「ありがとー。デザートにスペシャルチョコレートパフェも」
有河原樹は嬉しそうにウインクして、俺に目を向けた。
「俺は……ツイストドーナツシナモンがけで…」
南さんは俺の目を見てにこりと笑い、
「雄君も‥2位おめでと」
と言った。

俺は正直カチンと来た。

俺は小さく頭を下げてお茶と有河原樹の分の牛乳を用意して、椅子に腰掛けた。



「さ〜わむら〜」
しばらくして、有河原樹が両手にトレイを持って満面の笑みで近づいて来た。
俺の目の前には、Bランチの唐揚げが置かれ、香ばしい匂いを醸し出している。

「サンキュー」
俺は割り箸を袋から取り出しきれいに割り、有河原樹と一緒に手を合わせた。
「「いっただきまーす」」
運動後の食事はまた格別で、スルリと喉を通り腹を満たしていった。


後からわざわざ届けられたそれぞれのデザートを食べ終えると、腹は満たされた。
「食った食ったー」
有河原樹は椅子に腰を預けた。
「寝るのか?」
「んー少しなー」
と言い、有河原樹は寝息を立てた。
「ハハッ早ーなー」
俺は湯飲みに残っていたお茶を一気に飲み干した。

そういえば‥俺は又負けたのか‥。
俺の計画は又崩された‥。
歯車は既に全てが有河原樹ペースに動いていることを実感した。

「次は‥次こそは‥!」
俺は拳に力を込めて、決意した。

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