貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
静かな予感。
最近のわたしは、本当に子供みたいだ。

ワガママが過ぎると自分で分かって居るのに、自制出来ないから辛い。


「どうした!?頭でも痛いの?」


紅茶を注ぐ手を止めて、アキが寄って来る。

ティーカップが2脚、ミルクと蜂蜜が側に置いてあるから、一緒に飲もうとして注いでくれて居たのだと思う。


「泣いてちゃ分かんないよ。変なメールでも着た?怖い夢でも見た?」


夢。

当たりだよ、と頭では冷静に答えてるのだけど、身体は完全に泣くモードに入っていて、何もかも嗚咽にしかならない。


「困ったねぇ…」

アキがそっと手を伸ばして、わたしの身体をギュッと抱きしめてくれる。


「何があったか分かんないけど、せっかくだから今まで我慢した涙、全部流しちゃいなよ」

そう云って、アキは背中をさすってくれた。


その言葉が嬉しくて、自分の情けなさも混じって、余計に泣けた。

涙と鼻水でわたしの顔面はぐちゃぐちゃなのに、アキは嫌な顔一つせずに抱きしめ続けてくれる。


いれたてだった紅茶は、もうきっと冷めて居るはずだ。



「何も怖くないよ」

まるで、お母さんの様に優しい言葉をかけ続けてくれたアキ。



だけど、「あたしはここに居るよ」とは、一度も云ってくれなかったね。





側に居てよ。

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