《MUMEI》 桜. 4月… 桜が舞い散る―…… この季節… 俺は見事に合格した、第一志望校に入ることが出来た。 高校の名前は聖葉高校(セイヨウコウコウ)。 頭のレベルはかなり高い。 俺はまだ着慣れない制服に身を包みながら、高校へ向かう。 「雅樹も、もう高校生かぁ〜早いよな〜」 「雅樹、制服似合ってるね」 「父さんと母さんさぁ…バレたら大変だから、無理して来なくても良かったのに…」 高校の入学式は、来ない方がいいと言ったのに…… 父さんと母さんは、仕事の時間を潰してまで俺の入学式についてきた。 絶対にバレる!! バレたら俺だって困る!! 入学早々、有名人になってしまう。 「雅樹の入学式だもん…来なくちゃ気が済まないから来たんだよ」 「そうだぞ!雅樹の入学式なんてコレが最後かもしれないし」 だからって… 気合い入れすぎ……。 高校の近くまで来ると、同じ制服の人がちらほら見えてきた。 相変わらず、でっけー校舎…。 きっと、迷路みたいに複雑なんだろうな…。 教室の場所も覚えられないかもな…。 「さて!!写真でも撮るか!!」 「父さん……誰に撮ってもらうんだよ…」 「あっ……どうしよっか…」 父さんは昔から天然だ。 母さんはめっちゃしっかりしてるのに。 「じゃあ、誰かに撮ってもらおうか」 母さんは近くにいた、優しそうなおばさんにカメラを渡した。 おばさんは母さんのことを知っていたらしく、サインを頼んでいた。 「じゃあ撮るわよ〜♪」 父さんは、せかせかしながら俺と母さんを桜の木の下までつれていく。 ―カシャ カメラの、シャッター音が鳴った… 俺はカメラを笑顔で返す、おばさんを横目にヒラヒラ舞い散る桜を見ていた。 「ホラ!!行かないと、入学式に間に合わないよ」 母さんに急かされ、俺は入学式会場へと走る。 この時――… 俺は一人の女子生徒の隣を通ったことに 気づかなかった……… . 前へ |次へ |
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