《MUMEI》

「やっぱり勝利の女神がいると最強だよね〜!」

「自分で言ってるし。自意識過剰ー?」

南、七生にもっと言ってやれ。

「うっさいな、優勝すりゃいいんでしょう?」

「俺達が本気出せば楽勝じゃね?」

「この調子で突っ走るのみだよな。」

自意識過剰クラス伝染中。


……七生のあほ。
無鉄砲で頑固で自分が目立つことばっかり考えて……


俺がどんなに心配しても聞く耳持たないんだ。

それだけ引っ張っていく力がある分、影響力もある。
七生は皆を裏切らない。
前進全霊でぶつかっていってくれる。

俺はそんな七生が羨ましい半面心配だ。




「二郎?」

乙矢に呼ばれて泣いていることに気が付いた。

「何でもない、感極まった」

……七生を考えたら、気持ちが溢れて止まらない。

いいんだ、分かっているんだ。
七生は俺には止められない、必ず返ってくると信じて待つしかないんだ。

涙をシャツの裾で抑えた。

「キャー!じろーちゃんお腹出てる!
男が見てるよ隠して!」

俺も男ですよ……。

七生と目が合った。
互いに下を向く。
きっと泣いてる理由だって俺から言わなきゃ分からないんだ。

今日は言わないようにする。


こいつ一人に振り回されたくない。

どうせ成功するに決まっているんだから。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫