《MUMEI》

それよりも…何よりも…


初めて膝を擦った喜びの方が何倍も嬉しかった。


40分も走り続けた疲労も…


胃が締めつけられるようなギリギリの緊張も…


奥歯を噛み潰したくなるような屈辱も…


後方に流れ去るバック・ストレートの風景と共に浄化されてゆく…。


ライダー交替前の最後のラップに、神様がくれた最高の贈り物のように思えた。


オレは勝ち誇ったように右足を上げて、ピットインする合図をダイネーゼに送った…。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫