《MUMEI》
起動
―ピッ
あたしはオーブンのスイッチを押した。
ゴゥンと音がしてオーブンが起動し、中が明るくなり温まり始めた。

あたしは一息ついて椅子に腰掛けた。

時刻は9時半。
予定では終わっている時間なのに、まだまたかかりそうだ…。
あたしはデコレーション用のチョコペンをお湯にひたした。

『奈緒‥あんたまだやるの?』
母がカウンターの向こう側から体を乗り出して来た。

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