《MUMEI》

何事もなく、二学期は始まった。


変わったことといえば―…


あの子の名前を知った、ってことぐらい。



『姫井りか』



まさしく、姫にぴったりの名前。


あ、何で知ったかってーと、


…まあ、なんつーか…


偶然、これはホントに偶然、


あの子が告白されてるとこを聞いてしまったからだ。



始業式の日。

大掃除で、クラスの女子に
ゴミ捨て係を押し付けられたオレは
(女って怖い…)

めちゃくちゃ重いゴミ袋を2つ引きずって
ゴミ捨て場へと歩いていた。


すると、

そばの茂みから、ネコが出てきた。


よく見ると、あの子がビスケットをあげてたネコだった。


動物大好きのオレはゴミ袋を置き、
そのネコのそばにしゃがんだ。


ネコも逃げる気はないようで
そっと頭をなでると、ごろごろとのどを鳴らしたので、



(かわいーなコイツ〜!!!)


と、
ネコを抱き上げ、よしよししていた。


…その時。




「あの!!!姫井さん!
…姫井りかさん!!!」



男の声がした。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫