《MUMEI》

梶野と並んで廊下を歩きながら、
気になったことを聞いてみる。



「なー、いつから??」

「…はあ??なにが」



こいつ、マジで鈍いな…



「ゆきちゃんのことだよ!!
…いつから好きなんだ??」



そう聞いたとたん、
梶野は立ち止まり、
持っていたファイルを取り落とした。



「…ばッ…何言って…!!!」

「いや、そんなに驚かなくても…」



梶野の顔は真っ赤だ。
恥ずかしがり屋なんだな…

―…おもしれ♪


オレは、ファイルを拾って、
梶野に手渡しながら



「…で??いつからなんだよ??
お前、オレ協力してやってんだからな!!
ちゃんと答えろよー??」



と、さらに追いうちをかける。


梶野も観念したのか、



「…1年のときからずっと」



と小さく答えた。



「…マジで!?…お前、早く告れよ!!」



そう言うと、



「…ダメだよ。だって、相原に
“梶野と付き合うなんてありえない”
的なことゆわれたし」

「…あらー…それはキツイな…」

「…だろ??
―…まあでも、おれも出来る限りのことはするつもりさあ!!」


そういって、梶野は笑った。



頑張れよ、梶野!!


それは、
心から応援したくなるような
すがすがしい笑顔だった。

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