《MUMEI》
的中
「えっくん、おそーい!!」


玄関に入ると、ただいまを言う前に、
美咲が叫びながら走ってきた。



「ごめんごめん!
これから、体育祭の準備あるから、
それ終わるまで遅くなんだ」

「えぇ〜!!じゃあ、えっくんに
宿題教えてもらえないのー!?」

「や、ちゃんと教えてやっから、
…でも、迎えはおかーさんに頼めよ??」

「…はぁい」

「よし、ご飯食べよ!!」

「うん!!今日はねえ、麻婆豆腐だよ♪
美咲も手伝ったの!!」

「おお!!偉いな〜!!
いいお嫁さんになるぞ♪」



話しながらリビングに入っていくと、

テーブルには、向かい合わせに
お皿が2人分、用意されていた。



「えっくん、早く食べよお!!」



そう言って、テーブルにつく美咲。



「美咲、お前…」

「えっくんが帰ってくるの、
ずっと待ってたから、お腹すいちゃった!!」

「………!!」



ああ、いい妹をもって、
オレはなんて幸せなんだ…!!!



「ありがと、美咲」



そう言うと、オレもテーブルについた。



『いただきます』



居間からは、テレビの音と、ぎゃはは、
というカナの笑い声が聞こえてくる。



…今更だけど、姉とは大違いだ。



麻婆豆腐は、めちゃくちゃ…




…辛かった。

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