《MUMEI》
兄貴…?
オレはロスマンズのツナギをピットの軒に吊し、パンツとTシャツに着替えた。


椅子に腰掛けようとピット内を見渡すが…

…椅子が無い………。


よーく見ると………

なんと兄貴は、日影になっているピットの裏で、一つしか無い椅子に座って爆睡していた。


先ほど、ピットインのサインを岡ヤンが出していた理由はこれだった。


(おまえ……自由にも程があるやろ!?)

いくら実兄とはいえ、あまりにも身勝手な振る舞いにムカっ腹が立った。


しかし、普通なら憤慨して蹴りの一つでも喰らわせるところだが、オレは寸でのところで思い止まった。


何故なら…

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