《MUMEI》

「りか、明日、相原先輩に“相談”します!!」



ある日の帰り道、りかちゃんは唐突にオレに宣言した。



「相談て…」

「相原先輩、絶対『協力する』ってゆってくれると思うんです!!
そこで一気に攻めですよ!!!」



確かに…
ゆきちゃん、意地張ってるみたいだし。

でも、それで梶野は動くかなあ…



オレは、りかちゃんが心配になってきた。



「…誰に嫌われても、手に入れるって、決めたんです。
―…綾乃がりかにやったように」



りかちゃんの表情が変わった。



「あやの…って…??」



オレが訊ねると、
りかちゃんははっとして、
ばつが悪そうに俯いた。



「…あ、ごめん!!
言いたくないなら、言わなくていーから」



オレが慌てて言うと、



「…綾乃は、親友、…だった子です」



りかちゃんが呟いた。



「…え…」



オレが立ち止まると、



「…なんか、えっくんになら言ってもいいかなって」



数歩さきを自転車を押しながら
歩いていたりかちゃんが振り向いて言った。



「…少し、座ってお話しません??」

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