《MUMEI》
結末は・・
「幾億の魔物を葬る。」 「朱、灼熱、業火の意思を焼き尽くす刃と成し。」
キィィン!!
今までの比ではない、神速の斬撃。
「この身に救いは無く。」 「蒼、静かなる意思を粛清の刃と成す。」
ギィン!!
打ち合わされる一撃は互いの体の傷を開かせ、血が吹き上がるがソレすらも切り刻むような連撃が続く。
「ただの一度も理解などされず。」 「双、交わりて戦神たる刃と成せ。」
ザシュン!!
同時に放たれた一撃は、双方の体を深々と切り裂く。
「されど、ただの一度でさえ後悔はせず。」 「刃、願わくば浄化の刃、彼の者を救わん。」
僅かに離れた間合いを詰めるために彩詩は前進、シンギは迎撃の態勢。
「ただ・・己の道を貫き通す!!」 「朱王、絶炎牙!」
朱の炎が劫火に巻きつき刀身が揺らめく。
それに合わされるは夜霧。
ゴォォォオオオ!!
全てを焼き尽くさんとする炎をその刀身に吸収していく。
全ては吸収しきれず、残った炎が彩詩の体を焼くが、即座に蔓が傷を抉りながらも強引に活動を可能とする。
「届かぬ理想としても・・」 「蒼王、絶清牙!!」
蒼海が刀身に水を纏う。
極限まで圧縮された水の刃に夜霧を合わせ、吸収した炎を解き放つ。
ザシュン・・
蒸発しながらもその刃は彩詩の左腕を断ち切り、振り抜かれて行く。
「ココに願いはあるのだから!!」 「双王、穿咬ノ命!!」
ギィィン!!
断ち切ったはずの左腕と今まで動かさなかった右手が初めてこちらの双剣に合わせて振るわれる。
左腕には幾重にも蔓が巻きつき、止めど無く血を流しながらもシンギの一撃を受けきる。
再び二人が互いの剣戟の余波に押され地面を抉りながら距離を開ける。
「信じ、貫き通す!!」 「深名、天別ノ印!!」
大きく引き絞られるように下げられたクリムゾンローズで今まで籠め続けた魔力を解き放ちながら突きを放つ。
間合いを詰めながら振るわれる双剣は朱と蒼の帯を引きながら長大な刃となり、彩詩に向かって地面を抉りながら切り上げられる一撃と、空を裂きながら振り下ろされる一撃となる。
双方の一撃は、劫火と蒼海が重なった場所でその力を互いに解き放った。
弓なりに反った刀身を持つが故に長大な刃となった際の切っ先は大きく外側へと反れている。
地面、空の両側から押し潰されるような魔力が彩詩を包み、一瞬でも気を抜けばその身は消滅するだろう。
ただ真っ直ぐに突き出された白光の一撃は双剣が纏う魔力の刃を貫き、すでに刀身と押し合いをしているような状態。一瞬でも魔力の供給量が下がれば、一瞬にしてシンギの体を貫くだろう。
「あ・・・」 「く・・・」
二人が同時に声を上げる。
それが拮抗状態を崩し・・
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ・・・・・・ン・・
何もかもを破壊するような魔力の爆発。どちらが勝ったのかそんな事は解らない。

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