《MUMEI》 答え「…りか、2人の―…梶野せんぱいと、相原先輩のこと、 応援するって決めました!! …やっぱり、りかが邪魔しちゃったし―…」 「……え??…そしたら、りかちゃんが―…」 りかちゃんは、オレが落としたゴミを拾い始めた。 「りかが、相原先輩に負けたのに落ち込んでない理由は、」 ゴミを、近くのゴミ箱に捨てた。 からん、かしゃん… と、乾いた音を立ててゴミはゴミ箱へと収まった。 「“誰に嫌われても手に入れる” なんて言ったクセに… ―…嫌われたくないひとがいる、ってことに 気付いたからなんです」 りかちゃんの瞳が、真直ぐにオレをとらえる。 「…えっくんには、嫌われたくない…って。 ―…これが、答えです。 …気付いてました?? りか、えっくんの前でなら、自然に笑えるんです」 ざあっ、と吹いた秋風が りかちゃんの長い髪をなびかせる。 甘い香りが、鼻をくすぐる。 りかちゃんがオレに近づき、 「…はい」 と、オレにメガネを返した。 オレがメガネをかけ直し、 りかちゃんに向き直ったとき、 りかちゃんはオレに背中を向けていた。 「…いつの間にか、えっくんになってました。 ―…りかの、心にいつもいるひと」 …その小さな背中からは、表情を読み取ることはできない。 オレはまだ混乱してるみたいだ。 「…えー、と…」 何を聞けばいいのか分からず、 言葉に詰まっていると、 りかちゃんがオレに背を向けたまま言った。 「―…そうだ!! …今度の休み、動物園に行きません!?」 前へ |次へ |
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