《MUMEI》
動物園に、お姫様
「…へ??
―…でもりかちゃん、動物好きじゃないんじゃ―…??」


オレが答えると、

りかちゃんは



「…えっくん、知らないんですか??

―…好きなひととなら、どこでも楽しいんですよ??」



そう言って、振り向いた。



その真っ白な肌は朱い夕日に照らされて、すごく綺麗で…


りかちゃんは照れたように笑った。



―…オレは想像してみる。


動物園に、少しわがままなお姫様がいる。


そのお姫様は、幸せそうに笑っていて、



―…そして、その隣には、オレがいる。



楽しい休みになりそうだった。



オレは手を伸ばすと、

頬を赤く染め、
少し俯いて前を歩くお姫様の手をとった。




同じスピードで歩き始めたオレたちを、






朱い夕日が照らしていた。












―完―

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