《MUMEI》
加藤視点
「結局別れたんだ、そっか…」


「うん…、なんか冷静に一人で考えてみたくてさ…ごめんな、
俺が流されてばっかだから加藤の事も巻き込んで」


二人ベッドに座りながらさっきからずっと話込んでいる。

一人暮らしを始めたばかりの裕斗の部屋は最低限の物しか揃っていない。
8畳のフローリングにシングルベッドと
ローテーブル。
15インチの液晶テレビにゲームとPCしかない。

開けっぱなしなクローゼットに衣類が適当に引っかかっていたり山積みになっていて、
あまり整頓する事が出来ない人なのかと今更ながら悟った。

吸い殻がてんこ盛りになった灰皿を抱えながら吸ってるし…。
「まー上手く二股かけて両方付き合う事も出来たのにさ、なんだかなあ、ま、俺は巻き込まれたなんて思っちゃいねーし、ちゃんと全部話てくれる裕斗の事ダチとして大好きだから」

俺も煙草に火をつける。
「で、最終的にどっちかとやり直すのか?」
「はー、分かんね、でも隆志は無いかな…、あ、勿論加藤に遠慮とかって意味じゃなくてさ、やっぱ一人きりになった時浮かんでくるの秀幸だって分かったし」

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