《MUMEI》

明け方、眠れなかった。
わざと眠らなかった。
ツンの部屋に入る。
服は着ていない。


「起きろ!」

布団を捲くる。



いない。



「何、急に。」

「隠してるんだろ!」

ツンは裸を見られることに躊躇する様子も無く布団の上に存在した。

「……いないよ」

「嘘つけ!皆で俺を騙して楽しかったか?」

ツンの上を跨いで箪笥の襖を開けた。



いない。



「今日は 」

背後からツンの声が聞こえた。後ろを不覚にも抱え込まれる。

今日は、いない?


あの人を待っていたツンの肌は冷えていて、少しだけ温かかった。

なんだか目頭が熱くなる。

「お前のこと分かったよ、服着ろよ。
芸能人だろ、風邪なんかひくな。」

なんだか、気が抜けた。

「みきすねが暖かいからもう少しだけ……」

甘えてくる犬みたいに気持ち良い声を出された。

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