《MUMEI》
すり抜ける幸せ
   〜麗羅視点〜


自分の作ったカルボナーラを口に運ぶ。


もぐもぐ・・・。


下を向き何も言わない私に


栄実が話しかける。


「麗羅、このカルボナーラ、凄く美味しい☆


こんな美味しいカルボナーラ初めて食べたよ☆」


「本当麗羅チャン料理上手だね☆」


っと海が続ける。


『ありがとう。』


歩を見ると、カルボナーラを口いっぱいに


詰め込み喋れる状態ではなかった。


それでも必死に、手と表情で

"美味しい"っと私に伝えてくれた。


私の作った料理を美味しいと言って食べてくれる。


それは十分すぎる幸せなのに


私の胸には、ポッカリと穴でも

開いてしまったかのように


その穴から喜びがすり抜けていくのを感じた。

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