《MUMEI》
あ…起きた
『なんや…騒々しいの…?』

その時、ピット裏で寝ていた兄貴が起きてきた。


30分ほどしか寝ていないせいか…

その眼はまだ半分寝ている。


ラスト15分を切り、佳境を迎えたレースの興奮から一人取り残されている兄貴は、狭いピット内を熊のように右往左往しながら飲み物を探していた。


オレ『岡ヤン、スゲーぞ…ムチャ速いペースで追い上げてんよ。』

兄貴『おぅ…健二か?…もう交替したんやなぁ……。』


このオッサンは、人の話を全く聞いていない…。

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