《MUMEI》

アクア・サーキットでは、50cc のバイクだと40秒の壁を破ることさえ大変なことだった。

岡ヤンは、その壁を巡航レベルで乗り越えた上に、39秒という途方もない壁をも打ち破ってみせたのだ。


つくづくこのサーキットにレース・モニタが無いことが悔やまれる。

何故なら岡ヤンの神がかり的なファーステスト・ラップを報知するシステムが無いからだ。


小さな液晶パネルだけに表示された"神がかり的な数字"は、オレと兄貴のみが見届けることになり…

残念ながら、その後の周回の平凡なラップ・タイムによって上書き消去されてしまった。

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