《MUMEI》
第4章 恋人直前
 俺があいつを大学の『ダースベーダ』の魔の手から救った後のことを話そう。


 そしてあいつの可愛さにぞっこん参ってしまったことを。でも、俺はまだ中世の騎士のような気分で我慢できていたんだ・・・

 鬼芦達に襲われて、口から血を流したあいつをサッカー部の部室まで連れて行った。口をティッシュで拭いてやった。大人しくされるがままになっている。

「・・・着替えて来いよ」

 あいつはまだショックが抜けないのか一人で部室に入るのを躊躇した。

 俺は部室のドアに寄りかかって、あいつがロッカーの方を向いて着替える姿を見ていた。あいつはまだ収まっていない短い呼吸をしながら長袖のトレーニングシャツをゆっくり脱いでいたが、首を抜いたところで肩と手にシャツを巻いたまま、首を回してちらりとこちらを見た。

 俺はあいつと目が会って、慌てて目をきょろきょろさせた。

 俺が後ろにいるのに安心したのか、また後ろを向き、シャツを脱ぎ、黒いビキニパンツ一枚になった。

 俺の一物は暴れ出した。裸電球で照らし出されたあいつの後ろ姿のなんと艶めかしいことよ!

 普段、男だらけのがやがやした所で見るなら、こんな感じは持たなかったかも知れない。騒がしい奴でも、無防備にうたた寝をしている顔を見ると色っぽく感じることもある。今のあいつはそんな趣(おもむき)を持っている。

 強靱で柔軟な筋肉が付いているはずの肩や背中はうっすらと脂肪で覆われ、女性的な丸みを持っている。骨張ったところがないのだ。

 良い運動選手は尻が大きいとは聞いたが、薄い光沢がある生地のビキニに包まれたあいつの尻はふっくらとしてそそられる。
 やはり運動のため根本が太くなった腿もむっちりとしているように見える。膝から下がアスリートらしく形良い。臑毛が全く目立たない。

 俺はギリシャの石像によくあるような、理想的な美しさとしなやかさを持っている体の人間を捜し当てたのかも知れない。

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