《MUMEI》

 俺はあいつの肩をそっと抱いたり背中をさすってやり、様子を見ていた。
 変な素振りに見えないかどきどきしていた。

 俺の汚い心が見えたら、あいつは俺を軽蔑するだろう!

 きれい事をしゃべっていても、心では恋する人を薄汚く犯している。

 尊敬する作家の坂口安吾も告白しているが、彼と同じ苦しみを味わうことになった!

 あいつの髪の匂いがした。

 俺の胸にあいつの頬が付いている!長い睫の目が閉じている。可愛い口が少し開いて苦しい息をしている。

 俺の心臓はアルコールによるものよりもさらに高鳴った!

 あいつの唇をここで奪ったら・・・なんて甘美だろう。あいつをぎゅっと抱きしめて俺のものにしたら・・・

 俺の一物はズボンの下で立ち上がり、抉り入れる場所を探している。

 だが、あいつの俺を信じ切った顔を見て、俺は何も出来なかった。

 ここでしくじれば終生、後悔することになるのだ!

 あいつに、本当は俺が裏切り続けていることを知らせてはならない。

 そして友人の仮面を被って、永遠に俺は裏切り続けるのだろう。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫