《MUMEI》
「なんだ、答えは決まってんだ、ははーなんだ、じゃーやり直せば?」
「だからそうはいかねーの、ちゃんと考えてからだって、ちょっと一人になりたいってのもあるけどさ。
で加藤は?隆志の事どうすんの?」
「う〜ん、なんか萎えたっつーかどうでも良いっつ〜か、なんか今は裕斗とバカ話してた方が良いって感じかな〜。つか裕斗って年上って感じしねーしだらしないとこが気楽だし」
俺はベッドの上に脱ぎっぱなしのTシャツを摘み上げながら言った。
「だらしないって何!つかそれはまだ着れるから置きっぱなしなの!返せ!」
少しむっとした表情で取り返された。
「はー、ウジが湧くのは時間の問題か…
つか間違っても自炊は考えるなよ、余り食材で大変が起こる」
「はー、自炊なんて考えるわけないじゃん、俺袋麺だって茹でた事ねーし、コンビニうまいし…」
なんか当たり前って表情で言ってるし!
つかなんか威張って言ってるし!
つかマジか!?
コイツの家は男子厨房に 入らずか!?
…ここは俺のマンションから歩いて5分の距離…。はあ…
「しょうがない…面倒みてやるか、お互い都合つく時は一緒に飯食うか。作ってやるよ」
「え?加藤料理出来んの?」
今度は尊敬の眼差し…本当表情、ころころ変わるなあ。
「…俺は16で上京してずーっと自炊だよ、美味いかわからんが作れんものはないよ」
まあ元々小さい頃から包丁握ってたんだけど。
「…へー、すげ、つか
俺より下なのに色々先輩だよなー、尊敬…」
ニコッと無邪気に笑われて…
ちょっとだけ、どきっとした。
「食費は出せよ」
照れ隠しにぶっきらぼうに言ってしまう。
「当たり前だよ〜、あー本当はちゃんと手作りのご飯食べたかったんだ、楽しみだなあ」
「…つかやっぱり作り方覚えろ!」
思わず頭をペチンと叩いてしまう。
明るく笑う裕斗を見て…、何だか俺はなんだかほっとした。
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