《MUMEI》
仮友達
.







今日は悪い日。



毎日悪い日だけど、今日は何時もより悪い日。



だって、たまたま行った中庭に如月 秀斗が来たんだから。



これからは、中庭に行かないようにしよう。







―ガラガラ






教室のドアがいきなり開き、生徒たちは目を向ける。



すると、教室にいた誰もが驚いた顔をした。



「ねぇ!!あれ…梶原 龍……だよね!?」
「あの如月の友達のだろ!?」
「そういえば同じクラスだったよね!」
「梶原くんも格好いいよね〜」




如月 秀斗の友達??



絶対に仲良くなりたくない。



関わりたくない。



きっと、ろくなことがない。





梶原 龍は、教室に入りズンズン歩く。



そして私の前の席に座った。



……嘘でしょ??


この人、私の前の席なの??




如月 秀斗みたいに…


チャラい感じの人……。



絶対に関わりたくない。






「授業始めるぞ〜」



数学担当の先生が入ってきて、生徒たちは急いで、準備を始める。



梶原 龍は、見た目とは似合わず、しっかり数学のノートなどを持ってきていた。



…意外としっかりしてるんだ…



なーんて、思った。















放課後…



曇っていた空からは、雨が降り始めていた。



生徒たちは怠そうに教室から出ていく。



私は同じタイミングで、この生徒たちと下駄箱に行くことが嫌だったので少しの間、教室にいることにした。




……だが、



最悪なことに、梶原 龍と2人きりになってしまった。



私は相当、運が悪いみたい。




なるべく、話しかけられたくない……



ので、私は窓側の席に移動をした。




雨……



やんでほしいな…。




雨は……嫌い…。




「蘭ちゃん」



声のした方を見ると、其処には梶原 龍がいた。



最悪……



話しかけられた…。



私は視線を窓の外へと、ずらした。



「秀斗の言う通り…クールなんだな」



何で、私に関わるの??



やめてよ…1人がいいのに…。


「俺、梶原 龍……友達にならない??」



チャラい男って…



きっと、皆こんな感じなんだろうな…。



平気で、"友達にならない?"なんて…



私からしてみれば、迷惑。



1人がいいんだから。



「何で返事してくんないの??返事しないと、もっとしつこくなるよ??」



私はその言葉を聞き、暫く考え込んでから梶原 龍を見た。



「友達になりたいの??」



「そうだよ」



梶原 龍は、やっと返事をした私に満足したようだった。



「私…1人が好きなの…だから友達なんていらない」



「寂しくないの??」



「全然」



ずっと1人だもの……



寂しくなんか…ない。



「じゃあ…仮友達で」



は……??



仮友達??



「本当の友達にはならなくていいよ…その代わり、メアド教えて」




梶原 龍は、不適な笑みをうかべながら



自分の携帯をだした。




「…………分かった…」




私は、仕方なく……




梶原 龍にメアドを教えた。











..

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫