《MUMEI》

「もーイタイって」
「痛くしたんだよ、バカ」




ちょっと心臓に悪い冗談だもん。



でもちょっと嬉しかったりで。




裕斗は結局さっきの質問には答えることはなく俺達は買い物に行ったりゲーセンで遊んだりした。






一緒に太鼓の達人したら全然敵わなかった。





さすがに自宅にも有る奴には敵う訳ない。










マックでハンバーガー買って公園で食べてたら裕斗はバーガーをちぎって鳩に投げだした。




「スゲー、ちょっとに群がる、ポテト食べるかな?」




「どうかな、あ、食わねーや」




俺が投げたポテトはスルーされた。




「アヒルはドックフード食うの知ってた?」



「知らね〜、そうなんだ、つかそんな悪戯してたの?」




「行ってた保育園で飼っててさ、父さんがアヒルにあげろってポケットにいつも入れてくれたんだ」



「はー、そうなんだ」



「あの頃友達アヒルだけだったからな〜」





あれ、勝手にしんみりしてるし。






…そういや両親離婚してるって言ってたよな…。




でもな、コイツは落ちるのも早いけど上がるのも早いんだ。




「今の裕斗にはアヒルより可愛い、とっても優しい俺がいるだろ〜?
普通ダチなんて恋愛問題で揉めたら縁なんか簡単にプチンだぞ、
ちょっとは寛大な俺に感謝してあのバッグは奢れよ」





大概の女の子が顔を赤くする、とびっきりの可愛い笑顔で言ってやる。

「は、奢るか!ま、ギブミーチョコレートぐれーは買ってきてやるよ」




折角の笑顔訳のわからん返しで無視された!






つか、やっぱ俺の笑顔は裕斗には通じねーのか…




「いらねー!ハワイのチョコ甘すぎ!最悪、コーヒーなら尚更迷惑!」




俺も最後の一口のバーンズを鳩にカンパしてやる。




足元で必死に食べててなんかちょっとだけ勝手に和む。



「マジで感謝してる、今こうして救われてんの加藤のお陰だよ、有難うな」




今度はいきなり真面目な口調で言われて…、



裕斗を見る。



なんだよ、今度はスゲーかっこいい表情…、



何かめっちゃ男っぽくて…ちょっとその眼、吸い込まれる…。



「ははっ、今度は赤くなった!」




「こら!俺で遊ぶな〜!許さねー!」





もうめっちゃ恥ずかしくてやつあたり的に頬を引っ張ったり叩いたり。



裕斗はゲラゲラ笑いながら抵抗している。






俺も上京してからあんまり人に馴染めてなかったから…悔しいから言ってやんないけど






大好きな友達がやっと出来た。






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