《MUMEI》

レース終了の5分前に起きた悲劇に、ピット前も騒然としていた。


ゼッケン1のチーム・クルーの一人が、オレンジ色のチームの監督に詰め寄る場面もあった。

涙混じりに抗議を訴えるその姿に、誰もが同情を寄せた。


ギャラリーの視線や声援も、トップを走る岡ヤンではなく、必死にペダルを踏み続けるラパイド2号に贈られている。

ピットレーンに居合わせた他チームの面々も、ここまでレースを引っ張った彼の走りに、口々に賛辞を送っていた。


オレ達も、そのエンジンが息を吹き返し、せめて無事にチェッカーを受けることを祈った。

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