《MUMEI》

尚隆は訝しげに眉根を寄せる。
蓬莱ではそんな事が文化になっているのか。

彼の心配をよそに六太は皿に盛られた葡萄を1粒つまんだ。

「そんな大それた事したらさすがに法を犯すだろ。俺が聞いた話では『親しい友人や家族にからかい程度に嘘をつく』んだそうだ」

それってお前がいっつもしてる事だよな,と六太は苦笑する。

それがまるっきり嘘ではないので尚隆は何も言えない。
苦し紛れに彼も葡萄をつまむ。




しばらくして後,
口を開いたのは尚隆だった。


「――――六太。慶に確かめに行くか」

「……言うと思ってた」

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