《MUMEI》 鈍い音.. 7月13日… 私は中庭にいた。 何故かって?? それは、これから分かる―… 「待たせたわね」 そう言いながら、 山本 杏菜が中庭に現れた。 山本 杏菜の後ろには5人の女たち。 皆、山本 杏菜みたいにギャル系の女。 ……香水臭い……。 「あんたさぁ…私にあんな偉そうな口たたいといて、ただで済むと思ってないよね??」 「は??」 「………まじムカツク……何で龍は私より、あんたなんかと一緒にいんのよッッッ!!!!やっちゃって!!」 山本 杏菜がそう言うと、後ろにいた女たちが私に水をぶっかけてきた。 そして、馬鹿にしたように笑った。 ……成る程ね…。 こんなことで私を傷つけようとしてるんだ。 「キャハハ!!!!神谷サン、最高に綺麗だよ!!!キャハハハハ!!!!」 山本 杏菜は、私を見ながら楽しそうに笑う。 「もっとやっちゃえ!!!!」 すると、次は私に紙屑を投げてきた。 ……馬鹿みたい。 こんなことやって何になるの?? 「どーぉ??苦しいでしょ??私を怒らせた奴はみーんな、こんなめにあってるんだよ!!」 山本 杏菜は笑う。 他の5人も笑う。 女たちの笑い声だけが、甲高く響く。 「ねぇ、神谷サン……傷ついたでしょ??苦しいでしょ??」 「こんなことやって……あんたたちは楽しいの??」 「はぁ??」 「一回で分からないの??こんな馬鹿みたいなことして楽しいのかって聞いてんの」 山本 杏菜は私を鋭い目つきで睨みつける。 他の女たちも、鋭い目つきで私を睨みつける。 あぁ…… こんな馬鹿を見てると、 可笑しくて仕方がない。 「あんた……調子にのんじゃないわよッッッッッッ!!!!」 山本 杏菜は自分の手を、大きく振り上げた。 殴る……つもりね…?? 殴りなさいよ…… 私は、目をつぶった。 ―バチンッッッッ 鈍い音が響き渡った。 だけど、 どこにも痛みを感じなかった。 「―……なっ―……!!」 山本 杏菜は、両手で口を抑えながら後退りをする。 他の女たちも、後退りをしていた。 私は何が起こったのか分からなかった。 そして、 顔をあげた。 其処には―……… 赤くなった頬を 抑える 秀斗がいた―…………… .. 前へ |次へ |
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