《MUMEI》
温もり
..








「あーぁ……俺の顔に傷がついちゃったよ」




「なっ…何で……」




山本 杏菜は唖然としている。



他の女たちは、"ヤバイ"とゆう顔で顔を見合わせていた。





「山本 杏菜……お前、性格悪すぎ。だから、龍にふられたんだよ」



「うっ…五月蝿いッッッ!!」



「性格ブスはモテないからな」



「黙りなさいよ!!あんたには関係ないでしょ!!」



「頭…少しは冷やせ」



山本 杏菜はその場に座り込んだ。



他の女たちは、逃げていった。



人間は……



こんな時に人を裏切る―……



自己中な生き物―……




「あの女たちは…今度、しめてやる……今はお前だ」



「おっ…女に暴力なんて最悪よッッッ!!」



「蘭ちゃんイジメといて、調子こいてんじゃねぇよ!!!!」



秀斗は、



怯える山本 杏菜の胸ぐらを掴んだ。



「今度、蘭ちゃんに手だしたら俺が許さねーから」




何時もの秀斗からは……



想像できない態度だった。




目つきも鋭くて



低い声―……



考えられない……




山本 杏菜は、怯えながら走り去っていった。



私は…



その場に座り込んだまま……



立ち上がることが


出来なかった―……




「蘭ちゃん!!!平気!?」




振り返った時の秀斗の顔は…



何時もの顔で。



私は何故か……




泣いてしまった。




「らっ蘭ちゃん!?」




「…ば……馬鹿……何……やってんのよ…!!」




本当に……



馬鹿すぎるよ…。




「あのまま……殴られても…良かったのに……」



「それは俺が駄目!!せっかくの綺麗な蘭ちゃんの顔が台無しになっちまうし!!」



「し……秀斗の……顔が…傷ついた……じゃん……」



「いいんだよ……俺の顔なんてさ……きっと、蘭ちゃんの心の傷より浅いから」



……秀斗は…



きっと、私の心の傷に


気づいて……。



「蘭ちゃん……びしょ濡れだなぁ…あいつら最悪!!今度、龍と一緒にしめてくるわ!」



「もう………いいよ……」



私のことだけで……



精一杯にならないでよ…。





「蘭ちゃん……」




秀斗は…





私の涙を優しく拭いた。





そして、







優しく、抱きしめてくれた。







初めての…




秀斗の腕の中は






あたたかい……








温もりを感じた―………














..

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