《MUMEI》
距離―秀斗―
..








蘭ちゃんが初めて



笑ってくれた。



蘭ちゃんが初めて



普通に喋ってくれた。



秀斗って



呼んでくれた。



たったこれだけのことなのに



俺は死ぬほど嬉しくて。



もっと
もっと



蘭ちゃんを"笑わせてあげよう"


って、思った。

















学校に着き、
俺は龍に電話をする。



龍も今日は来るみたいだった。




蘭ちゃん来てるかな〜??




俺は、こっそり蘭ちゃんがいるクラスを覗いた。




何時ものように
1人だと……思ってた―…



けど、違った。





「!?!?」





俺は信じられない光景に目を丸くした。




だって
だって




蘭ちゃんは1人なんかじゃ、



なかったから。




蘭ちゃんの周りには、昨日蘭ちゃんのことを苛めてたあの5人がいたんだ。




まさか……




友達になったのか―………??





暫くの間、俺は呆然としながら立ち尽くしていた。




すると、
蘭ちゃんが俺に気づき、俺の方へ歩いてきた。


やっべ…
怒られるかな〜??



「おはよう、秀斗」



「おっす!!…………ってえぇ!?」


蘭ちゃんが、



挨拶した!?!?



これは夢か!?



「昨日の子たち、山本 杏菜にやらされてたんだって…さっき全部聞いた…それで、謝ってきて…友達にならない?って言われて」



「蘭ちゃん……1人が好きだって……」



「秀斗のおかげ」



「え??」



「少しずつ、人を信じていこうって思えたの」



「蘭ちゃん…」



「秀斗と龍のことも……」





凄く嬉しかった。



だって、俺のおかげって言ってくれたし、俺のこと……信じてくれるって―……





俺はこの時








蘭ちゃんとの距離が




少しだけ













縮まった気がした―……









..

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