《MUMEI》

「吾郎さん・・・これ・・・」

 俺の後悔している顔を見て、忍が脇に投げ捨てられたジーパンのポケットに手を伸ばし、何か出した。

 コンドームだった。

「兄貴の隠し場所から失敬しちゃった!」

 忍は恥ずかしそうに言った。

「これ・・・?」
「・・・俺、女の子の役だろ・・・吾郎さん、俺に・・・挿れたいんだろ?」

 忍は俺の目を見つめて俺の心を確かめると、体を起こしてコンドームの袋を破り、丸くなった物体を取り出した。

「嵌めてあげるよ」

 俺が胡座に座り直すと、その前に膝を揃えて臑を外に出して座り、屈み込んで俺のものにコンドームを装着していく。

「あれ・・・?」

 裏と表を間違えていた。
 忍は上目で俺を見て、
「ご免、間違えちゃった」

 あまりの可愛いしぐさに、俺は忍の髪を梳き、頬を撫でた。

「嵌める前に舐めてあげようか?」

 忍は俺の返事を待たずに頭を下げると、俺の陰茎の先を迷わず含んだ!

 なんというとろける様な感覚!だが、忍はまだ高校1年だ!

「お、おい!何でそんなことを知ってるんだ!」

 忍ははっと目を上げた。だがその瞳に衒(てら)いはなかった。

「何故って・・・AVの女優ってそうしてるじゃない・・・」

 軽蔑されるのかと心配になったようだ。

「・・・ご免。吾郎が嫌いならしないよ」

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