《MUMEI》

『トモダチ』


…それは、おれにとって
とても心地いい響きを持つ言葉だった。



「…はあ??カジノ、何言ってんだ??
このヘンな犬が友達ィ!?」



『クワタクン』はそう言うと、大声で笑い出した。



「そうだよ。…友達だ」



真直ぐな目をして、『トモ』が言う。



「…あ〜…付き合ってらんねえわ!!
―じゃあ、オトモダチと、仲良くな!!」



バカにするように笑いながらそう言うと、



「ほら、行くぞ!クラウン!!」



犬をひくリードを引っ張った。



『クラウン』と呼ばれたそのキレイな犬が
最後におれに向けた瞳は、
どことなく、寂しそうだった。



『クワタクン』が去った後、


おれは恐る恐る『トモ』を見上げた。

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