《MUMEI》
チョコレートブラウニー
「あ、おねえちゃんだ。」


髪の長い女に向かって始めに反応したのは、ファウナだった。


女が口を開く。



「どういうつもりなんだ?ファウナ…」



あまりに疲れているのか、彼女の肌は百合の花のように透き通って、白い。



ファウナが続ける。



「…どういうつもりとか、こぉゆうつもりとか…悪いのは、おねえちゃんなんだからねっ…き…昨日は…昨日は…游露くんが…」

游露…?

ファウナの言葉は、彼女の口の中に消えていった。



女の白い顔は、より白くなり、何と無く悲しそうだ。






俺は、口を挟んだ。


「…よくわからないですけどあなたこの子のお家の方なんですよね?入って来るなり喧嘩を初めてこちら側に謝罪も何もないって、どうなんですか?…」




あくまで、俺は自分本位の発言をする。他人のいざこざに加担することは、面倒極まりない。
女は、はっとしたようにして、俺を見る。
今まで俺と雷斗の存在に気づいていなかったらしい。

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