《MUMEI》
彼女
条件付きで付き合っても、本質はいつも国雄にある。

本当の目的は君の苦しむ姿。

三人いつも一緒だった。
それが崩れ去るときの顔、裏切られたときの悲壮。
二人で歩くと国雄の気持ちが恨みに変わり、火が燃えたように睨み付ける。


身体たげでは満足いかずに、たくさんの人が欲する彼の「心」を捕らえて離さない自分がいることに堪らない快感を味わう。


国雄の眼光は裏切り者二人に向けられる視線だ。

別れた後も気まぐれに歩いた。互いに利害が一致しているので別れたからと言ってもよそよそしくはならない。

彼は気がついているだろうか、本当に、心から愛されていることに。

狂わせる魔性に。

きっと離れてしまうなら死んでしまう。

だから恨ませて縛り付ける。

手足をもぎ取って檻で可愛がってやりたいほどなのに気がつかない気がつかせてはいけない。


いつだかはその精悍な顔を歪ませている様に興奮させられた。

攻撃的な彼は更に人々を魅了して止まない。


国雄は全てのものを飲み込む美しい逞しさを手に入れると確信していた。

愛し合いたい訳じゃない。憎んで愛よりも深い絆を手に入れたい。
絶対に揺るがないものが欲しい。
それがどんな罪になろうとリスクは厭わない。

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