《MUMEI》

「どうかしたの?」

僕は聞いた

「うん、床に小銭を落としちゃったの」

涼哉より五歳以上年上の少女が困ったように言った

「なら、僕が拾ってあげるよ」

「本当?」

「うん、任せて」

僕は小銭を拾った

「はい」

「ありがとう」

そう言って少女は自販機に小銭を入れ、りんごジュースを買った

「あっ!」

りんごジュースのところが売り切れになった

「どうしたの?」

「りんごジュース買いに来たんだけど売り切れになっちゃった」

「なら、これあげる」

「い、いいよ。お姉さんが飲みたかったんでしょ」

僕は断った

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