《MUMEI》
  …JOG
黒いマシンの正体は、唯一参加していたスクーターだった。


…YAMAHA…JOG…。


既にトップ争いから20周以上も離されて最後尾を走っているチームだ。

これだけ離されながらも、彼らは未だレースを諦めていなかったのだ。

いや…。

もしかすると勝ち負け云々より、最初から2時間を走り切ることだけを最大の目標にしていたのかもしれない。

だとすれば、このレースにおける彼らの目標は達成されつつあった。


おそらく充足感に満ち溢れた心境で最後のラップを噛みしめていることだろう。

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