《MUMEI》
……決心……
私は無言で朝日にハンカチを差し出し、ガタンと席を立った。
「小夏?何処行くの?」
朝日が呼び掛けたが、私は振り返らなかった。ただただ怒りを抑え、歩いた。
私は大体、トイレや空き教室で苛められる。
私はトイレに飛び込んだ。
やはりそこには、木下たちが偉そうに立っていた。
「………朝日に何をした?」
「は?」
「朝日は関係ないだろう……」
言いがかりつけてんじゃねえよ、ふざけんな≠ニ殴られるんじゃないかと、私はギュッと目を瞑った。だが、拳はとんでこなかった。恐る恐る目を開けると、木下が
「アンタと仲良さげに話したから、お仕置きしてあげただけだよ」
お仕置き……?
ふざけんな。
「あの子は転校生だから、何も知らないだけだよ!私がいじめられてることも、私と話しちゃいけないことも!」
怒りで声が震えた。
朝日は何も関係ないのに…。
「でも、もう思いしった筈よ。それとも」
木下は語尾を伸ばし、
「アンタが死んじゃえばあの子は苛められないんじゃない?」
心臓がドクンと鳴った。
死=c………。
私がずっと望んでいたこと。
少し前まで、死にたくてたまらなかった。何故忘れていたのだろう。
そうだよ。
私が死ねば朝日は苛められない。
私にとっても、皆にとっても、都合がいい。
そうだよ。死ねばいいんだ。
私は決心した。

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