貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》

占)
え?運命の人が現われたら何もかもすべてがうまくいくって思っているの?白馬の騎士のお話みたいに?あら、ごめんね、バカにするつもりじゃなかったのよ。言っていることはわかるのよ。でも、あなたの場合は相手にすごく期待しすぎて、初めのうちはその相手を逃すまいと好かれるために自分に無理をさせる。そのうちに相手の嫌なところ見つけては「ダメだ、この人は」って愛想尽かせて自分から離れていってしまったりしていない?仮に相手に文句が言えるような関係だったら、どうしてわかってくれないのって攻撃していったり・・。

茜)
それって、ど、どうしてわかるんですか?あ、いえ、全てが当たっていると言っている訳ではないんですが・・。

占)
占い師だからね!
(本当は白馬の騎士の話をする人は、だいたいこのタイプが多いからだよ・・。)
自分のことを大切にしてくれているのかどうか、愛情を与えてくれてる人かをただ確認していることの繰り返しをしているみたいだけど・・、そんな自分に都合のいいことばかりの人はいないと思うんだけどね。そんなもの求めながら、幸せになれないんじゃないかって悩んでいるのは、運勢うんぬんの問題じゃなくって自分が変わらないと解決なんてできない問題なんだけどね。

茜)
占い師ってそんなこともわかるの?私はただそれを繰り返しているだけってこと?それじゃ私の場合、どうすれば「本当の出会い」を見つけることができるんですか?

占)
あなたが言う本当の出会いって一体なんなの?さっき言ってた何もかもすべてうまくいく素晴らしい人のこと?さっきも言ったけど、本当にあなたって、いつも良い人に恵まれている手相なんだよ。あなたを助ける人が周りにたくさんいるんだけど、それに気付いていないだけなの。

茜)
気付いていない?

占)
そう、近くにいる人であなたを気にいってくれている人、あなたに興味を持っている人がいるでしょう?

茜)
そんな人いない、いない。

占)
ゆっくり思い返してみて?

茜)
(そう言われてみれば、高校の時、いつもなにかと近寄ってきた中井君のことかな〜。いい加減で歌もダンスも下手でそれを直す努力さえしようともしないくせにバンドのリーダーやりたがる、あんなのとか・・?今は所くんかな〜。以前、フォークギター持って自分が作った曲を飲み会で歌っているのを聞いたことがあるけど、わけわからない曲だった。それもまた、へたくそでホントに聞いていられなかった。それ以外は、勉強もしないでバイクの改造ばっかりやってるし、これまたいい加減で軽くて全然誠実さのカケラもない人。やっぱ、ありえない!)
オバサン、いたとしても変なのばっかしかいなんですけど・・。

占)
でも、その人ってあなたが持ってない物をたくさん持っている人だと思うんだけどなぁ。

茜)
そりゃそうなんですけど、頼れないっていうか、誠実さがないっていうか、いい加減なんだよね・・。やっぱりあんなの無理、絶対ありえない!

占)
変なのばっかり?そうなのかな?あなたの場合、「自分はこうじゃなきゃいけない」というのが強くて「こうじゃないといけない自分」になれなくなると自分に嫌気をさしてしまう。人に対しても同じ。「こうじゃなきゃいけない」というのがあってそうでない部分が見えてくると同じように嫌気をさしてしまう。
自分にも人にも「こうじゃないといけないんだ」という気持ちが強すぎるんじゃないかな?
その気持ちが強いと、時に自分を責めて苦しめてしまうし人を責めて苦しめてしまう。そして自分で失意と孤独をつくってしまうんだよ。

茜)
(それにしてもこのオバサン、よくもこんなに平気で傷つけること言えるなー。)
それはあると思う。理想っていうか「こうじゃなきゃいけない」ってよく思う。今回、彼に対してそれが強く出た感じもする。だって約束を破るんだもん。でもそれって私が間違ってたの?自分で自分を苦しめてたの?

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