貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》

占)
必ずと言う訳ではないけど手相を見ると、よくそれがあなたを苦しめてるみたい。よかったら、別れた彼との話しをしてみてくれない?

茜)
いいけど・・。彼とはアルバイト先で出会ったの。優しそうで清潔感があって誠実そうでしっかりしている人。私が新人で入った時に店長から「彼になんでもわからないことは聞いて。困った時は助けてくれるから」と言われたぐらいバイトのみんなにも店長にも信頼されている人なの。人が見ていないところでも片付けしてたりバイトじゃできない在庫管理も店長からまかされていて、その時は尊敬できる人だと思ったの。

占)
素敵な人だと思ったんだね。

茜)
そう、バイトの飲み会でもみんなに気を使って盛り上げて「人を大切に人だなー」って。「こんな人と付き合える人って幸せだろうなー」って思ってた。

占)
どうして付き合うようになったの?

茜)
できるだけ同じシフトに入ってわざと困った振りをして聞きにいったりして・・。

占)
自分から近づいていったんだね。

茜)
そう、だから一生懸命バイトを頑張ったの、彼に好かれたくて。ある時、在庫が合わなくて二人で必死に調べたりしてるうちに「仕事熱心だね」なんて彼に言われて。それから仕事のことで彼から頼まれるようになったりして、どんどん仲良くなっていって、食事にいくようになって・・。

占)
あなたもよく気の利く頑張り屋でかわいい子になっていったんでしょ。

茜)
だって、その時は彼のことが尊敬できて、この人と一緒にいたいって思ってたもん。

占)
付き合ってからはどうだったの?

茜)
彼が英文科で英語の本を普通に読んでいるの見てすごいって思ってたの。外人から道を聞かれても普通に楽しそうに話せるから羨ましいなんて言ってたら、一緒に勉強しようって薦められて一緒に英語を勉強するようになったの。

占)
そして今度は英語を頑張ったの?

茜)
彼も英語ができると就職にも有利になるって言うし、自分でも英語が話せるようになれたら良いなーなんて思っていたから。わからないことがあるとすぐ彼に電話やメールで聞いてすごく頑張ってた。彼も私の飲み込みは早いって感心してくれた。何より一緒に勉強するのがとても楽しかったの。

占)
それからどうなったの?

茜)
そのうち、だんだんと彼が約束に遅れることが気になりだしたの。友達や他の女の子から電話が入ると相談に乗ってあげたり店長からメールが入るとすぐに飛んでいくの。私のことはどう思っているんだろうって不安になってた。でも嫌われたくなかったから「私のことはいいから早くそっちへ行ってあげて」なんて気を使って言ってたの。

占)
不安だったけど、嫌われないように我慢してたんだよね。

茜)
そう。でも彼は全然わかろうとしないの。そのうち、そうするのが当たり前みたいになってきたから私のことはどうでも良いんじゃないか、大切だとは思われていないんじゃないかって思うようになってきて・・。

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