《MUMEI》
†出逢い†
下に居たのは、メガネを掛けた背の高い男子だった。
男子が身を起こした。
「いって…」
男子は顔を少し歪める。
「ごっごめんなさい!!私が落っこちて、そしたら貴方の上に落ちちゃって…」
男子が私の顔を見る。あ、ちょっとカッコいいかも……。私の好みの問題かもだけど…。
「いや、大丈夫。お前こそ怪我しなかったのか?」
「あっ、ハイ、全然!」
ホントは膝を擦ってたけど、そのくらい何でもない。だから 嘘をついた。
前を見ると、彼がこちらをじっと見つめている。 「えっと………。何か?」
すると彼が答えた。
「アンタ、ここの生徒か?」
私はギクッとして、必死に動揺を隠そうとした。 「あ、あう…えっと……」
「否定しないのか」
多分彼から見ると、私の顔は真っ青だったにちがいない。
「えっと…その…と、友達と会う約束してたんです!そしたら、変装した方がいいかな〜って!」
私は必死に弁解した。
すると彼が口を開いた。
「いや、いいよ言い訳しなくて。別に怒ってない。先生等に言い付ける気もない。ただ確かめただけだ」
私は、胸を撫で下ろした。
「ほ、本当にですか。良かった…。」
私は少し間を開けていった。
「じゃあ、帰りますね。さっきはスミマセンでした。…もう来ないので、どうかこの事は誰にも言わないでください。では」
そう言って立ち去ろうとしたとき、彼が引き留めた。
「待て」
私が振り返ると、彼が言った。
「……別に、また来ても良いからな」
思いがけないその言葉に、私は少し驚いた。しかしすぐに笑みを作って、 「じゃあ、明日また会いに来るかも」
と、大きな声で返した。 彼の言葉が、嬉しかった。
私は、最後にこう付け足した。
「お名前は?私はるり」
彼が返す。
「……純。純だ」
「ありがとうございます。では」
また明日、純。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫