《MUMEI》

突き出したオレの左膝は、U字コーナー内側の境界線を舐めるように擦ってゆく!

すると目の前にオレンジ色の NSR のテールが迫ってきた!

オレは歯を喰い縛りながら、そのケツに追突する恐怖を振り払った!


オレの視界で、コーナリング中の景色がスローモーションのように流れてゆく…。

まるで、回転する円盤の内から外側を眺めるように、世界がロールしていた。


そして絶え間無い"動"の世界の中で、左バンクするオレンジ色のマシンだけが"静"をとどめていた…。

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