《MUMEI》

「右手を。」


あたしは甲を上にして、右手を持ち上げた。


すると商人さんは、包帯だけの右手をあたしの手の上に重ねた。


しかし何もせず、すぐに手を離した。


あたしは手の甲を見た。


すると
なんとも言えない
刺青ような黒い模様が
書かれていた。


「これは何ですか?」


あたしは、手の甲をこすりながら言った。


しかし落ちなかった。

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