貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》第3章――[茜]私にとって大切なものって
茜)
あっ所くん。ここで何してんの?
所)
オー、茜ちゃん!今から友達の家に行くトコロなんだけど・・。っておもしろくない?
茜)
なにそれ!(ムカ!)おもしろくもないけど・・。
所)
風鈴をつくったんだ。おじいちゃんとおばあちゃんのために。
茜)
所君のおじいちゃんとおばあちゃん?
所)
いや、田中さんっていうおじいちゃんとおばあちゃん。
茜)
誰?田中さんって?
所)
いや、この前さぁ、実家に18切符で帰ったんだけど、電車で横に座ってた奴と仲良くなっちゃって。
そいつがまた純朴で良い奴でさぁ。農業体験しに農村民宿に行くって言うからそのまま一緒に付いて行っちゃったの。
すごい田舎におじいちゃんとおばあちゃんだけで暮らしてるんだぜ。
成り行きで農業手伝ったら、おじいちゃんとおばあちゃんもいい人でさ、
1泊目以外はお金は要らないって言うから3泊しちゃってさ。
ふと、どうして俺はここに居るんだって思い返したらなんだ実家に帰ろうとしてたんだって
思い出して後ろ髪引かれる思いでみんなと別れて帰ったんだけど。
今度行く時は風鈴持っていって縁側に吊るしてさ、
その音聞きながらビールなんか飲めたら最高だろうって思ったわけ。
でもって陶芸部の奴に頼んで風鈴作らしてもらったんだけど、
その陶芸部の奴は土をこよなく愛してるいい奴でね、
そいつがかなりいいのができたって言うから取りに行くの。
どう?茜ちゃんもその風鈴持って、この夏にその田舎に一緒に行かない?
良い所だよー。電車で知り合った奴もまだそこに居るし。
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