《MUMEI》

道端に倒れていたのは猫でも犬でも生ごみの袋でもなく人だった。

たぶん男の人?
が横向きに倒れている。


「…大丈夫ですか?」


私はちょっとこわかったから、距離をおいてその人に呼び掛けた。


「…………。」


反応なし…。



どーしよ!!
しっ死んでる!?


私はまわりの人に助けを求めるため、まわりを見渡したけど、こんな暑い日にはみんな家から出たくないのか、誰もいなかった。



「なんで誰もいないの!」

一人叫んで、私はすがる思いで、男の人の腕を揺らした。


「ねえ!起きて下さいよ!死んでないですよね?頼むから起きて!私、死体発見者になりたくない!」


「う…ぅ…。」


かすかに男の人の呻き声が私の耳に入った。


「いっ生きてる!?良かった…。」


安心して、ふとこの人の身なりを見た。

「…マジか…。」

私は自分の顔が少し引きつったのが分かった。


男の服は、こんなに暑いのに、長袖のくすんだ抹茶色のジャンバーを着ており、下はシワがいっぱいついていて、所々泥がついているジーパン。

髪は黒髪で、寝癖か何かでいろんな方向にはねている。
前髪で顔のほとんどの部分が隠れていて、口くらいしか見えない。

それに、香水なのか、すごく甘い匂いがする…。


私は少し男と距離をあけた。


「うぅ…。」

また呻きだし、今度は体が動き始めた。


「大丈夫ですかー?」

だんだんこの男と関わりたくなくなってきたけど、男の安否を知るため、また呼びかけた。


すると急に男がガバっと起き上がった。


「ぎゃっ!」
私は全く可愛げのない叫び声を上げ、また一歩後ろに下がった。


男はどこを見ているか、ぼーっとしている。


「あっあの…。」


「…あ…め………。」


「あめ?」


「飴!」

男はそう叫んで、汚いジャンバーのポケットを慌てて、探り出した。


ポケットの中からは、飴の包み紙みたいな物が大量にでてきた。でも、全部肝心の中身が入ってなくて、空ばっかり。

どうやらあの甘い匂いは香水じゃなくて、飴の匂いみたい。


「ない…ない…。」



全てのポケットを調べたけど、飴は見つからなかったみたいで、男の首がカクンとたれた。


けれど、男の視界に運悪く私は入ってしまった…。


下を向いていた、頭がゆっくりと私の方を向いた。


「ひっ!」


こわっ!


「あ…め…。」

と言いながら、私の方へ近寄ってきた!

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