貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》

茜)
(言われてみれば、所君のわけのわからないペースにはまってからいろんなことあるなぁ。
なぜだか見ず知らずだったフォークソング部の人たちと練習しちゃったり録音もしちゃってライブに出る話も進んでるし・・・。
北斗のオーナーに挨拶とか行ってるし。
私、何やってんの?って思いながらも結構、楽しいし。
んー、少しきっちりした自分が減ったような感じはするけど・・。)

占)
どんなことがあったの?良かったら教えて?

茜)
うん。絶対、恋愛対象なんてありえないって言ってた所君っていう男の子のことなんだけど・・。

占)
ふんふん、それで・・。

茜)
彼も私も人や自分のことをそれなりに大切にしてるんだと思うんだけど、
周りの反応とか、何より自分自身に対する感覚が全然違うの。どうしてだと思う?

占)
いいところに気付いてきたよね。
所君って言ったね?その子は人を大切にしてるというよりも、人が何を大切にしているのかが大事な子なんだよ。
彼はその人が大切にしているものを大切にしてあげたいって感じることができる子なんだ。
電車で出合った青年が農村に行き農業をしてみたいと言う。その青年が大切にしているものを彼は大切にしようとする。
周りが村を捨て農業をやめても、その村を愛し農業を愛する老夫婦が大切にしているものを彼は大切にしようとする。
心から土を愛し陶芸をしている友人の大切にしているものを彼は大切にしようとする。
古くて使えない機材をまだ使おうとするフォークソング部のその機材を大切に思う気持ちを彼は大切にしようとする。
酒と音楽が好きなオーナーの大切にしている空間を彼は大切にしようとする。
だから、風鈴を作りたい、歌を作りたい、ライブに出たいという彼の気持ちをみんなも大切にしてくれる。

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