《MUMEI》 紀元二千年前 日本 三人の男達が森の中を進んでいた。 麻で出来た服を着た二人が、科学者が実験の時に着るような真っ白な服を着た老人を、縦に挟む形で目的地を目指している。 無言でしばらく歩いていると目的地に到着した。 「やっと着きましたね。」麻の服の一人が言った。 「そうだね」と白衣の老人 「ついにこの時が来たんですね。」麻の服のもう片方が言った。 「あぁそうだ・・よし!じゃあ、さっそく始めよう。」 三人の男がいる。 三人の前には巨大な立方体の箱があった。 それは石で出来ているようだ。 その石は、十メートル四方の巨大な物だったが、ほとんどが地面に埋まっていて、三人からは上の面しか見る事が出来ない。 白衣の老人が口を開く。 「よし!じゃあ、さっそく始めよう。」 白衣の老人は、白いもじゃもじゃのヒゲを細長い手でいじくりながら足元の装置を見つめていた。 「何も起こらないですね。」麻服の一人が言った。 「そりゃまあ、すぐには起こらんよ。」と老人 「よし!これで終わりだ、もう帰ろう。」足元を見つめながらいった。 「えっ!?でも、まだ何も起こってないじゃないですか!」 「だから、すぐには起こらんと言ったろう。何か起こるのは今から二千年後じゃ。」 「二千年後!!?僕たち生きてないですよ!」 「えっ、君達、寿命何年だっけ?」 「長くても八十年ですよ!」 「あそっか、ごめんごめん、わし寿命五億年だし」 「・・・あ〜、なるほどつまり、あなたは、その、人間じゃ、ない。」 「今頃、気付いたのか」 二人は、あらためて老人を見てみた。 良く見ると確かに人間離れしたところがあった。 まず、手足の指先にかけてが異様に細長かった。 もっと良く見ると、皮膚が少し緑がかっていた。 さらに良く見ると、今まで気づかなかったが、指が七本ずつあった。 さらにもっと良く見ると、腕と足が三本ずつあった。 そこで、ふと、頭に目を向けると角が生えていた 「って、ぜんぜん人間じゃねぇ!!」麻服の一人が言った。 「あーイヤだイヤだ、なんて嫌なんだ。これだから人生が嫌いになる、もう本当にやめてほしい」と二人の男が思っている理由は、目の前にいる老人が人間ではないからだった。 「そもそも、君達はこれがどんな装置かわかっているのか。」白衣の老人が言った。 「どんな装置なんですか」 「知るか!」 「なんなんすか!」 「つまりじゃな、ここじゃない離れた別のある地点で言葉を言う。その言葉がパスワードになっていて、それに反応して装置の電源が入り作動し始めるんじゃ。その言葉がその地点で二千年後に言われる様になっているということじゃ。」 「へぇー、でも二千年よりも前に偶然、誰かがその地点でその言葉を言ってしまう事は無いんですか?」 「そんな事無いように、人が絶対に言わないような言葉になっている。」 麻服の二人は、今までのことを思い返し、整理しようとして死んでしまった。 前へ |次へ |
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