《MUMEI》

「君がこの飴くれたの?」
と男は自分の口を指差した。


「はい…。」


「そっか…。悪かったね。ちょうど飴切らしてしまって、倒れてたんだと思うよ。そこに君が通りかかってくれて、この飴をくれたんだね?あー僕、飴がない時の記憶は全くないんだよ。ほんと困ったもんだよ。」


「そうなんですか…。」


こんなの自分よりまわりの人が大変じゃない…。
ほんと困った人だ。



あれ?もしかして…。

ふと嫌な予感が横切る。

「その今食べてる飴も食べ終わったら、その『飴欲しい欲しい病』またでちゃうんですか?」


「えっ……。」


暑いはずの空気が一瞬にして凍り付いたように感じた。


「大変じゃないですかっ!そんなに舐めないで下さい。舐めたら小さくなりますから!」


また倒れられたら困る!

私はカバンを逆さにして荷物を全部出して、飴がないか探した。

「ない!ない!ない!」

結局飴は見つからなかった。


「……。お金持ってますか?」


「……。」


「ないんですね…。」


私は財布の中のお母さんから預かったお金ではなく、自分のおこづかいの金額を確認して、立ち上がった。


こうなったら、買いに行くしかない…。

おとなしく座っている男の腕を掴んで立ち上がりさせた。

「どうしたの!?」

「ないなら買いに行くしかないでしょ?」

「でも、お金が…。」

「いいから!」


私は男の腕を引っ張って、私がおつかいで行くつもりだった、スーパーに向かって走りだした。

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