《MUMEI》
今日は大人しく
 二人はしばらく無言で楽しくもない番組を眺めた。
この時間帯の番組は主婦向けの情報番組ばかりだ。
どれを見ても楽しくない。

「なあ、今日はどうするんだ?」
沈黙に耐え兼ね、タイキは口を開いた。
「どうって?」
画面から視線を逸らさず、ミユウは応える。
「いや、一日中家にいるわけじゃないだろ?」
「まあね。……あんた、まさかついてくる気?」
「そりゃ、まあ。暇だし」
「だったら学校行きなよ」
「いや、行かない」
タイキが首を振ると、ミユウは小さくため息をつき、「じゃ、今日は大人しくしとく。あと、少しだし」と呟くように言った。
「なにが?」
「別に……」
ミユウはぶっきらぼうに応えると、端末を開いてキーを叩き始めた。
これ以上話し掛けるなということだろうか。

仕方なく、タイキも自分の端末を開いた。
しかし、これといってやることがない。
タイキは音楽ファイルからミライの新曲を選択し、流すことにした。

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