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《MUMEI》 三人で本当に川の字で寝ることになるとは。 ペラい布団を二枚敷いて真ん中に愛知が挟まっている状態だ。 むさ苦しい限りである。 壁際に映る昭一郎の影に自分の影を重ねてみる。 さっき会ったとき昭一郎が目線の下に入っていた。俺って昭一郎より大きくなったんだ。 それでも、昭一郎を超えることができない。 ほどなくして昭一郎の寝息が聞こえてきた。 ｢国雄、起きてんの？｣ 愛知に呼ばれて振り向く。首から鎖骨にかけて広い襟から露出していて、至近距離で見るとやけにいやらしいかんじがした。 ｢なんスか？｣ ｢質問無いの？｣ 質問返しされた。 ｢萌姉ちゃんは何度か来たことあるんだろう？ 嘘つかなかった？ゴミ箱に怪しいゴミがあったんだけれど｣ 素直に聞いておく。 ｢国雄凄いね、探偵？｣ 褒められた。 ｢違うのか？｣ ｢昭一郎は別に優しいだけなんだよ。断れないんだ。 でも本命はちゃんといるよ。まだ寝てないって。 国雄、知りたいならまたおいで。それまでに調べておいてあげるから。｣ 彼は昭一郎に恩義があるからあまり余計なことは言えないと言う。 ただし、 ｢それ以上に国雄の存在が大きくなったら別だけど……ね？｣ 昭一郎には秘密で近くの公園を待ち合わせ場所にする。 愛知の笑い方は暗闇で見つめていると妙な気を起こしそうで背中を向けた。 前へ |次へ |
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